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導入事例 – ANA(全日本空輸株式会社)

ANA(全日本空輸株式会社)は1952年に設立された伝統ある航空会社である。ANAの国内線・国際線を合わせた旅客数は年間約5000万人であり、世界で第11位の輸送実績を誇る。

そのANAは1970年代から、IHSのミルスペックをはじめとする公知規格情報サービスを利用しているという。なぜ、航空会社が軍事規格であるミルスペックを使うのか、どうしてIHS Markitの公知規格データベースが導入されたのか、その理由につい アラン・アター氏に詳しく伺った。

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業務内容

まず業務内容について、お聞かせ下さい。

私たちは航空機の整備を行っている部門で、約200名のスタッフがおり、技術的なサポートを行っています。この中で、主として2つの業務があります。

  • 1つは日々の運航を支える業務であり、安全性と信頼性を維持するために、どのような整備をどのような方法でどのような間隔で行うかというプログラムを作成したり、フリートの不具合への対策決定と処置の指示です。
  • 2つ目は、信頼性向上のための改修やお客様のニーズに合うようなインテリアの変更などの改修の企画です。

なぜ航空会社がミルスペックなのか?


いつ頃からIHS Markitの公知規格情報サービスを使っていますか。

1983年までは契約書があるのですが、それ以前から使っていました。紙媒体の頃からですので、1970年代からだと思います。かれこれ30年以上使っていることになります。


航空会社であるANAがどうして米国防省規格であるミルスペックを重視するのでしょうか。

大きな旅客機はアメリカのボーイング社とヨーロッパのエアバス社の2社が製造しています。両社が旅客機の市場占有率トップを争っていますが、部品となると圧倒的にアメリカ製品が多いのが実情です。

世界中の航空製品の多くはアメリカを中心とした規格に基づいて製造されています。そのため修理や改修を行う場合製品の規格を調べるためにミルスペックなどのデータを参照する必要がでてきます。


ミルスペックをどんな場合に参照しているのか?


整備にミルスペックのデータが必要だということですが、そんな頻繁に参照する必要が或るのですか。

昔はミルスペックのデータはさほど必要ではなく、修理の際に必要によって規格を調べる程度でした。

ミルスペックのデータを頻繁に参照するようになったのは、航空会社のあり方が変わってきてからです。昔は飛行機は安全に飛べばいいという考えでしたが、時代の流れに伴いお客様のニーズも変わってきました。そのニーズの変化に伴い、インテリアを変更したり、テレビモニターを付けたり等、様々な対応が必要となりました。

例えば、離着陸時に機内のテレビモニターで風景や離着陸の様子が流されています。これはANAが世界に先駆けて行ったものですが、このような改修工事に際して、様々な製品の規格を調べる必要があり、その調査に公知規格データベースを利用しています。


公知規格データベース導入前-とても手間がかかりました


現在の公知規格データベースを導入する前はどのようにしていましたか。

昔は紙媒体でした。その頃は社内の図書館で調べていました。1970年頃からは、マイクロフィルムになりました。1990年代半ばにはCDになり、現在はWEBの形になっています。

マイクロフィルムの頃は、まず目録冊子で必要なデータがどこのフィルムのどの辺にあるのか調べてから、机を縦にした位の大きさの読み取り機で探していました。

読み取り機でマイクロフィルムを電動で回して探しますが、フィルム自体が大きく、しかも実際に自分の目で確認しながら探さなければならないので、大変手間がかかる作業でした。

また、情報の共有はできないので、各整備場毎に読み取り機が置かれていました。


何故過去の古い規格を参照するのか?


過去に発行された古いミルスペックも使用されるそうですが、それは何故しょうか。

航空機は購入後20年程度は使用しますので、現在使用されていない規格で製造された製品も存在しています。

これらの製品を修理、改修する場合どのような規格に基づいて作られたのかという過去のミルスペックのデータがどうしても必要となります。

IHS Markitの公知規格データベースは、過去のリヴィジョンのデータや民間の規格も簡単に検索できるので、利用しています。

昔は航空関係規格のグローバル・スタンダードは主としてミルスペックでした。しかし、現在はSAE(※1)やASTM(※2)などの民間の規格が充実し、スタンダードがミルスペックから民間規格に変わってきました。結果、民間規格に基づいて製造されるものが増加する傾向にあります。


調べたい規格の更新履歴が一覧となって出てくる。


ミルスペックだけでなく、民間の規格も参照する理由は何でしょうか。

昔は航空関係規格のグローバル・スタンダードは主としてミルスペックでした。しかし、現在はSAE(※1)やASTM(※2)などの民間の規格が充実し、スタンダードがミルスペックから民間規格に変わってきました。結果、民間規格に基づいて製造されるものが増加する傾向にあります。 そのため、最近はミルスペックではなく民間規格を参照することが多くなりました。

  • SAE:Society of Automotive Engineers 米国自動車技術者協会
  • ASTM:American Society for Testing and Materials 米国材料試験協会

公知規格データベースを導入して何が変わったのか?


導入してみて、どのようなところが変わりましたか。

CDの頃は2カ月に1回更新作業をしてもらっていましたが、インデックスの更新作業が1日がかりで大変でした。また、2カ月という更新のタイムラグはどうしようもありませんでした。

しかし、WEBになってからはリアルタイムで更新されるので、タイムラグも発生しなくなりました。しかも、更新作業が不要になったのでとても楽です。

また、インターネットが使える環境があれば、どこでも利用できるのも便利です。CDの頃は、イントラネットがつながらなかったり、ファイルのデータ容量が大きいので整備部門だけでイントラネットの容量を使ってしまったりとデータ送信の問題もありましたが、WEBになってからはそんな心配をする必要もなくなりました。


公知規格データベースの使い勝手はどうですか。

Googleなどの検索エンジンと同じような感覚で直感的に使えるので、使いこなすまでの時間がかからず、誰でも使えます。

また、ミルスペックの規格番号だけで検索できるのもいいですね。規格の検索は殆どの場合、規格番号で行います。余計な手間がかからずスムーズに調べられ、便利です。

また、インアクティブとなっているものや民間規格のデータも、まとめて検索できるので助かっています。しかも、検索してすぐ結果が分かるので、検索にかかる時間や手間がかなり省けるようになりました。


公知規格データベースを導入した理由とは?

修理や改修を効率よく行うためにはどうしても必要なツールでした。

事実修理や改修の際に製品の規格データがないとエンジニアが困ります。材質や熱処理の有無といった規格が分からないと、修理や改修のしようがありません。どのような素材をどのように処理して使えばよいか分からないからです。 何かあったときにオリジナルの情報を知る必要があり、そのためのツールがこのデータベースでした。 また、これらのデータはスピーディーに入手できなければなりません。 安全な飛行機を定時に飛ばすことがエアラインの責務であり、また経営のためにも大変重要なことです。そのために整備は正確さとスピードが要求されます。

IHS Markitの公知規格データベースは、最新のリヴィジョンだけでなく、古いものにもその場で簡単にアクセスできるので、重宝しています。


公知規格データベースの特長とは?

公知規格データベースの特色をエンジニアの立場から教えてもらえますか。

調べたい規格のリヴィジョンが現在どうなっているのか、一目で分かるのが特長だと思います。航空会社は様々なデータについて最新性の維持が求められるので、変更があったことを知ることができるというのは、とても重要です。

また、規格の改訂があったら購読している範囲だけでなく、未購読の部分についても通知をもらえるのもいいですね。それまで特に必要でなくても改訂後に必要になることもあるので、これは非常に助かります。


今後の期待

今後のIHS Markitに対する期待をお聞かせ下さい。

購読していないカテゴリーの規格データについても改訂情報を流してもらえるので、とても助かっています。カテゴリー全部は必要なくてもその中の1つ2つのデータが必要になることもあるので、これまで通りタイムリーに教えてもらえればと思います。


お忙しい中、有り難うございました。

  • ANAのWebサイト(www.ana.co.jp)
  • 取材日時 2008年9月
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