Automotive Customer Bulletin - Featured Articles

地球温暖化、5年以内に摂氏1.5度上昇の可能性

2021年5月27日   気候および持続可能性関連ニュース | Headline Analysis

世界気象機関(WMO)発行の5月27日付Annual-to-Decadal Climate Updateによると、今後5年以内に地球の平均気温が産業革命以前の水準を摂氏1.5度上回る可能性が40%あるという。

2015年署名のパリ協定は、地球温暖化による気温上昇を摂氏2度未満に抑えることを目指しており、意欲的目標として設定されている数値は摂氏1.5度だ。

WMOは「昨年の予測に比べ、一時的でも気温上昇が摂氏1.5度に達する可能性は約2倍になった」「これは気候指標の急激な変化ではなく、改良された気温データセットによるベースラインによるものだ」と述べている。

WMOは、NDCsとして知られる排出量削減に向けた国の公約が必要な水準に遠く及ばないことを強調している。4月に開催された米国主導の首脳気候サミットでは、米国を含む数ヵ国がNDCの強化を掲げた。米国は現在、2030年までに2005年水準から50~52%のGHG(温室効果ガス)削減を目標としている。

同報告によると、2021年から2025年までの少なくとも1年が記録上で最も暑い年となる可能性が90%であることも指摘されている。

今後5年間で、年間平均気温は産業革命以前の水準より少なくとも1度、つまり摂氏0.9~1.8度の範囲内になる可能性が非常に高いと説明されている。2020年は記録上3番目に気温が高く、世界の平均気温は産業革命以前のベースラインを1.2 度上回った。


Source:WMO

同時期に、高緯度地域とサヘル(サハラ砂漠南縁部)地域では湿度が上昇する可能性が高く、大西洋では近年と比較してより多くの熱帯低気圧が発生する可能性が高いとWMOは説明している。

「これは世界がGHG排出量削減とカーボンニュートラル達成に向けた誓約を迅速に遂行する必要があるという警鐘である」とWMOのPetteri Taalas事務総長は述べている。

Taalas事務総長は、同報告は気候適応の必要性も強調していると指摘、厳しい気象事象から住民を守る最新の早期警報サービスを備えているのは193のWMOメンバーのうち半数に過ぎないと付け加えている。

各国は、保健、水、農業、再生可能エネルギーなど、気候感度の高い分野の適応支援に必要なサービス開発を継続する必要がある。

同報告は、英国気象庁のほか、スペイン、ドイツ、カナダ、中国、日本、オーストラリア、スウェーデン、ノルウェー、デンマーク、米国の気候予測グループから寄せられた情報に基づいて作成された。世界の気候予測機関からの予測を組み合わせることで、単一情報源の予測より品質の高い成果が実現するとしている。

-- レポート:Abdul Latheef(Oil Price Information Service(OPIS) Carbon Markets編集者)




グローバルな電動化シフトとパワートレイン企業のスピンオフ

2021年5月12日  AutotechInsight今月の分析

世界の多くの地域で従来型パワートレイン技術には高い需要が継続しており、企業はイノベーションに取り組みつ

つ収入源を維持することが可能である。

困難な市場条件、規制と環境政策のさらなる厳格化、電動化と新規プレイヤーがもたらす創造的破壊によって、ここ数年でパワートレイン部門における競争とイノベーションは激化している。世界のパワートレイン・コンポーネントおよびシステムのメーカーが、新製品や改良製品の開発や事業統合でこの潮流に対応してきた。

例として、パワートレイン事業部門を分離するケースがある。2019 年、ドイツのContinentalがパワートレイン部門を別の事業体にスピンオフしVitesco Technologiesという名称で独立事業を開始すると発表した。ドイツ・Regensburgに本社を置くこの新会社は、世界約50地点で新たなブランドアイデンティティを展開、会社設立の主な目的は、電気エンジン、48V電動化、従来型内燃機関(ICE)のマイルド・ハイブリッド化、バッテリー式電気自動車(BEV)とハイブリッド車の両方に対応する高性能エレクトロニクスを含む製品ポートフォリオが示すとおり、急成長している電気モビリティ分野への注力であり、そのコア事業はエレクトロニクス、アクチュエーター、センサーを中心としている。

長期的な存続性と競争力強化を目指すこの長期再編プログラム発表から1年かけて、Continentalはターボチャージャー事業の売却計画に取り組んできたと伝えられている。運転支援、自動運転、コネクティッドカー、ゼロエミッション、モビリティ顧客向けサービスを含む統合ソフトウェアベースのシステムソリューション、またタイヤ、産業、エンドユーザー事業など、より収益性の高い成長分野へのシフトがその背景にある。他企業同様、Continentalは従来型パワートレイン技術から離れ、電気自動車(EV)技術開発に注力する意向を強調しており、2020年にはEMICATブランドでe触媒技術を導入した。48Vマイルド・ハイブリッド車では、触媒コンバーターを十分な温度に加熱して排気ガスの汚染物質を無害物質に変換する。

自動車メーカー各社は、世界のあらゆる市場で絶えず強化される排出基準への対応という課題にも直面している。EVは歴史上かつてないほど売れているが、その販売台数はスポーツ・ユーティリティ・ビークル(SUV)のような大型 ICE 車の販売にまだ及ばない。このような燃料効率が比較的低い車両の販売台数が多いOEMは厳格な効率基準の達成が困難であり、また政策によって設定された脱炭素化目標達成もより困難になる。48V電気アーキテクチャ採用率の急上昇、電動化とハイブリッド化の進行により、eアクスルなどのコンポーネント需要は今後数年間で高まると予想される。

パンデミックは世界中のOEMと、あらゆるティアレベルのサプライヤーを襲った。事実、前述のVitesco Technologiesのスピンオフ自体、パンデミックがもたらす経済的不透明感のため、親会社である Continental によって延期されている。一方で2020年11月末にMAHLEがMAHLE König の全株式を売却したように、サプライヤー数社がこの期間中に売却を推進した。自動車サーマル部門ではModineがその自動車事業の大部分をDanaに売却する契約を締結している。同社は5月、オーストリアの空冷自動車事業をSchmid Metal GmbHに売却した。

事業構造再編のトレンドは決して新しいものではない。Fiat Chrysler Automobilesは2018年、自動車コンポーネント子会社のMagneti MarelliをCalsonic Kanseiの持株会社であるCK Holdingsへ売却することに合意し、2019年5月に実行された後、Calsonic KanseiとMagneti MarelliはMarelliという新たなコーポレートブランドで事業を行っている。2017年半ば、Delphi Automotive Plcは、エンジン管理システムとアフターマーケット事業を含むパワートレイン システム部門をスピンオフしDelphi Technologies Plcという新たな株式公開会社とすることを発表した。残る事業部門はAptiv と改名され、自動車エレクトロニクスシステム分野で活動する。

パワートレイン市場でより確固たる足場を築くため、買収の道を歩むケースもある。2020年10月、米国を拠点とする多国籍パワートレインシステムサプライヤーであるBorgWarnerがDelphi Technologiesの買収を発表、2020 年 1 月には総額33億米ドルに上る取引を実行した。BorgWarnerは、eブースティングと統合ドライブモジュール(IDM)を備えたターボチャージャーなど従来型パワートレインコンポーネント事業で知られており、一方のDelphi Technologiesのコンポーネント・ポートフォリオには、燃料噴射装置、ガソリン直噴(GDI)システム、電気モーター用インバーター、パワーエレクトロニクスが含まれている。Delphi Technologiesを買収する目的はエレクトロニクスおよびパワーエレクトロニクス製品、機能、製造規模の強化であり、内燃機関、商用車、フターマーケット事業の強化と、電気モビリティに向けた動力源システム市場トレンドへの対応だ。OEMもサプライヤーも、事業統合、財務活性化、新たな成長機会の模索のために売却という手段を選択してきた。

こうしたスピンオフにより、企業は電動化とクリーンモビリティというより利益率の高い価値創造事業に専念できるようになる。Continentalなどの大手サプライヤーがその実現性を示した今、コンポーネント市場の変化に対応し今後さらに多くの売却に門戸が開かれる可能性がある。電気モビリティへの移行、スタートアップ企業による市場の混乱、激化する競争を回避する必要性から、買い手候補は不足していない。電気モビリティの急速な普及にもかかわらず従来型コンポーネント需要は依然として高く、サプライヤーは従来型パワートレイン技術を独立企業にスピンオフすることで、市場シェアを維持し、安定した収益源を生み出すと同時に、将来のイノベーションに焦点を移すことができるだろう。

Pranav Divakar(IHS Markit シニアリサーチアナリスト)




Novelis、日産に持続可能なアルミニウム製ボディシートを供給

2021年5月31日
Arti Anand

欧州でクローズドループ型リサイクルシステム構築でも協力する両社


Source:Getty Images Plus/ PhonlamaiPhoto

Novelisが2021年5月28日付プレスリリースで、最新型Qashqaiスポーツ・ユーティリティ・ビークル(SUV)向けに持続可能な軽量アルミニウム製ボディシートを日産に供給し、欧州でクローズドループ型リサイクルシステムを構築することを発表した。日産QashqaiはボンネットとドアにNovelisのアルミニウムを採用し軽量化と燃費向上を図る。Novelis EuropeのオートモーティブVPであるMichael Hahne氏は次のように述べている。「日産が軽量で燃料効率が高くライフサイクル排出量を削減できる自動車の設計を進めるなか、当社が持続可能なアルミニウム製ボディシート製品を提供できることを嬉しく思う。Novelis は他に例のない世界規模の活動範囲と革新的かつ持続可能なソリューション開発の能力により、自動車向けアルミニウム需要の高まりに対応できる独自の立場にある。今後もより多くのアルミニウムを採用しリサイクル能力向上を進める日産との協力を楽しみにしている」

重要ポイント:

主要自動車メーカー各社は軽量化達成のため、小型車セグメントや量産モデルへのアルミニウム採用を拡大している。Qashqai SUV は前モデル比でホワイトボディ(BIW)を合計60kg軽量化しているが、うち21kgがアルミニウム採用による。Novelisと日産はまた、クローズドループ型リサイクルシステムの確立による、より持続可能な製造プロセスの実現に向けて協力している。Novelisはドイツ・Nachterstedtの工場から日産の英国・Sunderlandの自動車工場にアルミニウム材料を配送して製造スクラップを回収、欧州の Novelis リサイクルセンターに戻し日産の生産用に鋳造、圧延する。このプロセスにより、両社の持続可能性目標達成に貢献する循環型サプライチェーンが作り出される。




半導体供給問題:ライトビークル生産トラッカー

2021年 6月1日 AutoIntelligence | 戦略レポート

半導体


Shutterstock/Dario Lo Presti

車載半導体サプライチェーンの混乱は2020年後半に始まり2021年第2四半期まで継続、第3四半期も低迷を予測する見方もある。パンデミック関連のロックダウンから回復するにつれて圧力も高まり、年後半にはホリデーシーズン向け在庫を積み増す家電部門からの需要増とぶつかった。3月19日にルネサスの那珂工場(日本)で発生した火災や、2月に米国南西部を襲った悪天候に続く混乱の継続など、他要因によって状況はさらに悪化している。多くの OEMがこの状況の影響を受けており、今後もそれは続くだろう。打撃を受けた主要自動車メーカー数社を挙げ、状況緩和に向けてこれまでに取られた措置と今年の残り期間に向けた展望を示す。

Ford

Ford は北米と欧州の両拠点で半導体不足による大打撃を受けた。北米では今年第 1 四半期に数週間単位の生産停止が発生、第2四半期にはさらに多くの拠点に広がり、Explorer、新型Bronco SportとBronco、またFシリーズとピックアップRangerなど重要モデルが影響を受けた。ピックアップRangerと新型Bronco、人気の E シリーズ商用車も対象となっている。

西欧と中欧の全拠点が数週間停止した影響は今年第 2 四半期も続いており、Valencia(スペイン)で製造のKugaやTransit Connect、Craiova(ルーマニア)で製造のサブコンパクト・クロスオーバー車、Kocaelli-Otosan(トルコ)のTransitおよびTransit Customといったモデルに影響が出ている。また、Focus を製造するSaarlouisやFiestaを製造するCologneなどドイツ拠点にも影響が及んでおり、後者は第3四半期に夏季休業に伴う停止を予定している。

4月28日の第1四半期決算発表でFordは、生産計画のうち約20万台が失われたため、半導体不足によって卸売納入台数が前年比5.7%減となったと説明している。John Lawler最高財務責任者(CFO)は、今年第 2 四半期には生産計画の約50%、約700,000 台が失われるというさらに困難な状況を強調している。また、2021年下半期には生産計画の10%、約20万台が失われると予測しており、この時点で上半期に失われた生産の回復はもはや見込めないと述べている。Ford は 2021 年通年で110 万台の生産損失を想定している。また、この状況がフリーキャッシュフローに30 億米ドルの悪影響をもたらす可能性があることも示唆している。

General Motors(GM)

半導体不足の結果、北米、南米、アジアの生産事業全体に影響が及んでいる。米国、メキシコ、カナダの各拠点で数週間の停止が発生、まだ継続している拠点もあるが、一部では予想よりも早い再開が見込まれており、この危機における部品供給の不透明感を浮き彫りにしている。GMは重要かつ高収益のモデルを優先しているため、フルサイズのピックアップとスポーツ・ユーティリティ・ビークル(SUV)モデルの製造拠点では顕著な混乱の影響は見られない。

ブラジルでの操業にも深刻な混乱が続いており、Gravatai(ブラジル)工場の操業停止は計画通り7月に生産再開の場合でも停止は約4ヵ月間継続となる。その他、韓国の 2拠点では当初2 四半期の間に数度の減産を実施、中国ではSAICとGMの合弁事業で第2四半期に限定的な生産中断が実施された。

2021年第1四半期決算発表において、半導体不足は2021年第2四半期に最悪の状況となり、2021 年後半には改善が見られるとの予測が共有された。CFOのPaul Jacobson氏は2021 年第3四半期までこの影響が長引く可能性も認めている。同社は、可能であれば代替マイクロチップを使用、あるいはその使用を不要にするための再設計、高利益率で需要の高い製品に対する供給確保など、これら問題に対する回避策を検討している。また、不足の影響を受けるモジュールなしでの車両生産も進めており、モジュールを後で追加するか、場合によってはモジュールなしで供給する計画であり、フルサイズのピックアップの一部が燃料管理モジュールなしで製造されているのはそのせいである。

Renault-Nissan-Mitsubishi

Renault-Nissan-Mitsubishiアライアンスも半導体不足の影響をある程度受けている。Renault Group の欧州事業には特にスペインで影響が見られ、年初のダウンタイムに続き、第3四半期に向け操業停止の準備が行われた。同社の LCV と BEV はフランス国内拠点で影響を受けるモデルであり、中欧拠点ではPitesti(ルーマニア)で重点製造の低価格のDaciaブランドが挙げられる。世界のその他の拠点数ヵ所でも影響が見られるが、その程度は穏やかである。

日産は日本の拠点が課題に直面しているが、これは主に今年第2四半期に集中している。一部のダウンタイム実施に加え、残業時間や休日出勤の削減、ライン速度引き下げなど、さまざまな手段で生産を引き下げている。北米でも第2四半期を中心に生産調整が行われる。他地域の拠点も削減の影響を受けており今後も続くだろう。欧州市場向けにクロスオーバー車の重要モデルであるQashqaiとJuke、Leaf BEVを製造するSunderland(英国)工場がここに含まれる。

三菱も日本での軽自動車とクロスオーバー車、またタイ拠点での製造モデルの生産調整を実施している。

4 月下旬のRenault Groupの2021年第1四半期決算発表で、CFO のClotilde Delbos氏はプレゼンテーションの際、「2ヵ月前には第2四半期がピークになる見通しを述べたが、影響はそれ以上ではないにしても第3四半期まで残ると今は考えている」と述べた。同氏は「見通しは悪化している」と加え、「間違いの可能性がある推測をすぐに出すことはしたくない」と述べた。Renaultはこの問題のために「数万台」の自動車生産を失うとDelbos氏は予想しており、最も収益性の高いモデルを優先していると説明している。

日産は5月第2週の決算発表で、3月末締め会計年度中に約130,000台が失われたと述べた。内田誠CEO は、2022 年 3 月締め会計年度の前半に約50万台の生産が失われる可能性を示唆し、その半分を下半期に取り戻す期待も示した。

Stellantis

Stellantisの北米事業は半導体不足で大きな混乱が発生、第1四半期に同地域での出荷が減少した。Jeep Compassを製造するToluca(メキシコ)で今年第 1 四半期と第 2 四半期に実施された16週間の生産停止を含め、大部分の拠点が数週間にわたって影響を受けている。他拠点は、特に新たな高収益車については影響を回避または最小限に抑えることに成しており、主にヘビーデューティ・ピックアップRamを製造するSaltillo Truck(メキシコ)とJeep Grand Cherokeeを製造するMack Avenue(米国)、新世代の Jeep WranglerとGladiatorを製造するToledo North と Toledo Supplier Park(ともに米国)の各拠点がここに含まれる。

欧州事業では、旧Fiat Chrysler Automobiles(FCA)とGroupe PSAの施設全体で異なる状況が見られる。サブコンパクトおよびコンパクト・クロスオーバー車を製造する旧FCA 拠点のMelfiは大きな打撃を受け、需要低迷により閉鎖の可能性があると報じられている拠点の一つである。旧PSA拠点では、西欧と中欧で組み立ての、サブコンパクト CMP とコンパクトおよび中型EMP2、両アーキテクチャに基づく車両製造拠点が苦痛を共有している。一部の人気モデルは、操業停止やシフトのキャンセルに加え、残業や追加作業の計画を余儀なくされた。一部のモデルはコンテンツを犠牲にし、他モデルで使用可能な半導体とコンポーネントを確保している。注目に値するのは、終了予定の先代Peugeot 308でインストゥルメント画面がアナログダイヤルに置き換えられることである。さらに最近、Stellantis は旧 PSA およびFCA工場5ヵ所の同時停止を、6月第1週の一部または全体を通して実施する予定である。

同社は2021年第1四半期の決算発表で、半導体不足がいかに破壊的であるかを強調、最終的にこの期間中に生産計画の11%、約190,000台の損失につながったと述べた。特に北米と欧州で在庫水準が比較的低くとどまっていることにも通じている。同社は不足が今後のビジネスに影響を及ぼし続けると警告し、2021年第2四半期は第1四半期より悪化するだろうと加えている。2021年後半には何らかの改善が期待されている。

Volkswagen(VW)Group

VWは主に欧州拠点で影響を受けている。Golfを製造する中核工場のWolfsburg工場や、中型および大型のAudiモデルを製造する工場など、ドイツの多くの施設で操業停止が発生しているが、重要な MEB ベースのバッテリー式電気自動車(BEV)を製造するMosel(ドイツ)拠点は目立った影響を回避しているようだ。e-tron と派生車型を製造するAudiのBrussels(ベルギー)工場では第1 四半期に減産実施、e-tron GT を製造する Boelinger Hoefe(ドイツ)工場は第2四半期に数日間停止した。Poznan(ポーランド)の VW商用車工場、さらに最近ではBratislava(スロバキア)での同グループのフルサイズのプレミアムおよびラグジュアリーSUV生産も影響を受けていると言われる。傘下のSEATが運営するMartorell(スペイン)工場はシフト数削減で生産を抑制している。同ブランドのWayne Griffiths社長は、もし半導体供給が十分なら、特定の派生車型需要への対応のため5月末から7月まで組立ラインの1つで生産を増やしたいと述べ、ポジティブな可能性の理由を示唆した。またGriffiths社長は、例年は4 週間操業停止する8月の期間中、Martorell での生産を継続する予定であると述べた。

他地域では、同社は第1四半期と第2四半期にわたり北米や南米など主要地域で混乱と停止に見舞われたが、中国の FAWとVWおよびSAICとVWの合弁会社ではさらに大きな混乱が指摘されている。

VW Groupの2021年第1四半期決算発表でCFOのArno Antlitz氏は、業界全体の半導体不足は第2四半期にそれ以前より深刻な影響を与えるとの予想を改めて認めた。

トヨタ

トヨタのおける半導体不足による混乱は比較的穏やかである。唯一の顕著な混乱は第2四半期におけるヤリスの派生車型とC-HRの組立拠点だ。北米、南米、欧州、中国本土の生産台数にはやや影響が見られたが、世界生産台数に対するこれら地域の割合は比較的低くとどまっている。5月の2020~2021年度決算発表で、同社はすでに予測に含まれているもの以上の短期的影響はないと述べた。同社CFOの近健太氏は、 2011 年に発生した東日本大震災の影響でサプライ チェーン管理が改善されたことによるものだと述べ、「代替製品評価の迅速な実施が可能になっており、それが半導体供給不足の影響を緩和できる要因の1つ」と加えた。

その他OEM

上述のOEMだけではなく、ホンダ、Hyudai、プレミアム自動車メーカーの BMW Group、Daimlerなども生産停止を余儀なくされている。その詳細と台数への影響はIHS Markit発行の混乱評価に記載されている。この評価は毎週発行しており、確認済みの事象の累積記録となっている。ただし、主要 OEM全社 が対象ではないことに留意されたい。

現在の評価では、2021 年第2四半期も第1四半期同様にリスクにさらされる可能性があり、供給の安定は2021年第4四半期まで見られず、回復努力が始まるのは早くても2022年初めと考えられている。

執筆: Stephanie Brinley、Ian Fletcher

{"items" : [ {"name":"share","enabled":true,"desc":"<strong>Share</strong>","mobdesc":"Share","options":[ {"name":"facebook","url":"https://www.facebook.com/sharer.php?u=http%3a%2f%2fihsmarkit.jp%2finfo%2fautmotive-bulletin-featured.html","enabled":true},{"name":"twitter","url":"https://twitter.com/intent/tweet?url=http%3a%2f%2fihsmarkit.jp%2finfo%2fautmotive-bulletin-featured.html&text=Automotive+Customer+Bulletin-++Featured+Articles+%7c+IHS+Markit","enabled":true},{"name":"linkedin","url":"https://www.linkedin.com/sharing/share-offsite/?url=http%3a%2f%2fihsmarkit.jp%2finfo%2fautmotive-bulletin-featured.html","enabled":true},{"name":"email","url":"?subject=Automotive Customer Bulletin- Featured Articles | IHS Markit&body=http%3a%2f%2fihsmarkit.jp%2finfo%2fautmotive-bulletin-featured.html","enabled":true},{"name":"whatsapp","url":"https://api.whatsapp.com/send?text=Automotive+Customer+Bulletin-++Featured+Articles+%7c+IHS+Markit http%3a%2f%2fihsmarkit.jp%2finfo%2fautmotive-bulletin-featured.html","enabled":true}]}, {"name":"rtt","enabled":true,"mobdesc":"Top"} ]}